今日も晴れ、いいぞー! ここのところ天気が安定している。 暑すぎず寒すぎず、心地よい風だ。 クルクルとペダルを回すたびに体中を新しい匂いがかすめていく。 
木・花・水・大地・動物・人・生活、とにかく色んな要素が混じりあって、複雑なものになって全身を包む。 旅をする事の醍醐味は五感をフルに使うこと。 ボクはいつでも体をめいっぱい使って最高の思い出として旅を取り込む。 なかでも嗅覚は重要だ。アルバムを開いた時に現地の匂いを思い出せるかどうかで、ボクの旅の密度が測れる。 もう一つ重要なのは精神状態で、長期の旅を続けていると旅に対して不感症になりやすい。 喜怒哀楽、やはりコレをシンプルに表現できる状態でありたい。 なんとなく旅しているのはボクにとっては罪なのである。 だから、より多くの情報を体で感じるために旅の手段は『人力での移動』を好む。 歩き・自転車・カヤック・スキーなど色々あるけど、出番が多いのが自転車だ。 それもMTB(マウンテンバイク)が最高だ。 このスーパーマシンはたっぷり荷物も積めるし、その気になれば1日200kmくらい進める。 歩きに比べたら見落とす景色も多いけど、『適度な機動力と体でその土地を感じる』という条件がボクにとっては最適なのだ。
 
 大陸を自転車で旅をしていると、時々同士に出会う。 「どこ行くんだい?」「今は西に向かっている!」「オレは南だ。そのうち地球のどこかで!」そんな豪快なやりとりが面白い。 大陸を横断や縦断、もしくは世界一周しているような連中は時間軸と距離の尺度が一般人とズレてしまっているのだ。「どのくらい旅してんだ?」「アラスカから1ヶ月くらいだ」「そうか、まだ始めたばっかだな。気をつけて!」。  ただ、中には自転車で移動する事が目的になっていて、1日にどれだけ移動したかにこだわっている奴もいる。これはボクの求めるスタイルではない。 気に入った景色があれば例え走り出して5分しかたっていなくてもテントを張るし、綺麗な川があれば気が済むまで何日も滞在して1日中泳いだり、釣りしたりする。 これが長期の旅に対して不感症にならないコツだ。 それでも旅が義務的に思えてきたら、それは『家に帰れ』のサインだ。 まあ、ボクの場合は一つの町や村に長期滞在して女のケツを追いかけたり、引きこもったりというマンネリ化した生活を送り、旅に対して湧き上がる次の渇望を待つという裏技も持っているけど。 とにかく遊びなんだから気が乗らなかったら途中でリタイヤしたって全然かまわない、自由に楽しく行こう。
 

    興味を持ったらすぐ行動
 
 友達や初めて会った人に「いいね〜、俺も放浪とか1年くらい行きたいよ」とか「好きな事色々できていいね!」なんてよく言われる。 「じゃあ、行きなよ。楽しいぜ」と返すと「う〜ん、お金が・・・」「時間が取れない・・・」とお決まりの返事。 こういう人達はボクに言わせると「本気で行きたいとは思ってない」のだ。 自分が好き勝手自由にやりたいならそれなりの覚悟はしなければ。 世間体や安定なんて言葉は求めちゃいけない。 金銭面も含めて旅のために準備する事は山ほどあるし、仕事や女(男)を失う事もあるだろう。 全てを含めて旅なのだ。 ここの所で踏ん切りがつかない人達は、限られた時間の中で高いお金を払ってお決まりパッケージツアーに参加するのが最適だろう。 
 
 一歩踏み出したいけどまだイジイジしている君のために最適の方法を伝授しよう。 これはボクがよく使う手なのだが、「やりたい事をとにかく言触らす」のだ。 ???・・・意味が分からないかもしれないが読んで字のごとくである。 はっきり言ってボクにだって不安や心配ごとはいっぱいある、誰だって初めての事に挑戦するのは怖いものだ。 だから「俺、来年からチャリで世界一周するよ」とか「今年の8月から中国の幼稚園で日系人の子供の先生やる」とか「5月にブラジルにグレイシーの道場破りに行く」とか自分に踏ん切りをつける意味も含めて、まず先にやりたい事を決定事項として言触らすのだ。 そして「現地の情報や知り合いがいたら教えて」と付け加えるのもお忘れなく。 大勢に吹いて回ると意外に情報が集まってくるものだ、必然的に外堀は埋まる。 これだけ騒いで行かなかったら、ただの「ホラ吹き野郎」と呼ばれてもいたしかたあるまい。 
 
 話が前後してしまうが、日常生活の中でちょっとでも興味を持つ事が見つかったら、ボクは必ず書き留めておくようにしている。 特に雑誌や新聞で面白い記事を見つけたら必ず切り抜いて日付けを入れてスクラップしておく。  これがかなり使えるのだ。 ロシアの凍結した間宮海峡をMTBで横断した時もきっかけになったのは、1996年3月16日の新聞記事で「間宮海峡・歩いた・渡った」という物。 「歩いて渡れるなら自転車でも行けるんじゃね〜の!」とそこから膨らんでいった。しかも、この記事を見つけて声をかけてくれたのは母ちゃんだ。 普段からバカなことばっかりやって遊んでいるから、面白そうな事を発見すると親に限らず友達も教えてくれるようになった。 感謝である。


      真剣に本気で遊べ

 最後になるけど、僕が常に意識しているけど未だに出来ていないのが上の言葉である。 学生時代の先生であり冒険家(世界初・バイクによる両極点到達等)の肩書きを持つ風間深志さんの言葉。 「どうせ遊ぶなら中途半端に遊ぶんじゃなくて本気で遊ぼうぜ。 自分がやりたいことの為に勉強するんだ。 ただ漠然と旅や冒険に出るんじゃなくて、現地でよりディープに人々や自然と触れ合おう。その人達の言葉を話せたほうが良いに決まっているし、文化や宗教、価値観、その土地の気候を調べるのは当然の事。 全部ひっくるめて遊びだから!」。 く〜、カッコイイ。 カッコ良すぎだ。 これには正直くらっときた。 真剣に遊べば遊ぶほど、様々な事柄がそこを中心に発展していくのだから。 後に知り合ったKさんも同じ事を言っていた。この人はヒマラヤの高所登山やNHKなどの辺境地TV番組の撮影、南極越冬隊員などを経験しているのだが頭も抜群にいい。 出かける先の言葉はほとんど喋れるようにしている、実際サハリンで日本語の教師をしていた事もあったし・・・。 やっぱり何事も本気はカッコイイのである。 目指せ、究極の遊び人!
                                

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